【そのシミ、イオン導入で薄くなる？レーザーとの違いと、効果的なシミの種類

イオン導入とは、微弱な電流を流すことで、水溶性の美容成分を肌の深層部（角質層）まで効率的に浸透させる施術です。その仕組みを理解するためには、まずはスキンケアの大きな課題について知っておきましょう。

イオン導入では、この電気の性質を利用します。

もともとイオン導入は、手で塗るだけの場合と比べて、その浸透力は数十倍にもなると言われています。

それは、ビタミンC誘導体などの美容成分を肌に塗布し、マイナスの電気を流すと、同じくマイナスにイオン化した成分が反発し、肌のバリア機能を通り抜けて奥へと押し込まれていく効果が期待できるからです。

シミのケアには、主に以下の成分が用いられます。

・ビタミンC誘導体： メラニンの生成を抑え、できてしまったメラニンを還元する働きがある。
・トラネキサム酸：特に、女性ホルモンの乱れなどが関係するとされる「肝斑」の改善に効果的。

クリニックで行うイオン導入は、家庭用美顔器よりも高い出力で、より効率的に成分を浸透させることが可能です。

イオン導入は、肌にやさしく、様々な美肌効果が期待できる施術ですが、すべてのシミに対して万能というわけではありません。効果を発揮しやすいシミの種類と、そうでないものがあります。

▼イオン導入が効果的なシミ
・肝斑（かんぱん）： レーザー治療では悪化するリスクもあるのに対し、トラネキサム酸などを用いたイオン導入は、刺激を抑えながら改善を目指せる。
・炎症後色素沈着： ニキビ跡や虫刺され跡など、肌の炎症によってできたシミを薄くするのに役立つ。
・顔全体のくすみ： ビタミンCなどを肌全体に浸透させることで、肌のトーンが明るくなり、透明感のある肌へと導く。

一方で、紫外線が主な原因でできる、輪郭がはっきりとした濃いシミなどを完全に消すことは、イオン導入だけでは難しい場合があります。そうしたシミには、ピンポイントでメラニンを破壊する「レーザー治療」が適しているかもしれません。

イオン導入の大きな利点の一つが、その安全性の高さです。

このダウンタイムがほとんどないという特徴から、ケミカルピーリングで古い角質を除去した後にイオン導入を行い、成分の浸透をさらに高めたり、レーザー治療後の肌を落ち着かせるために併用されたりと、他の施術と組み合わせることで、より高い効果を発揮します。

イオン導入は、微弱な電流の力で、美容成分を肌の奥深くへと届ける、いわば「スキンケアの効果をブーストする」ための施術です。

レーザーのようにシミを強力に「消す」というよりは、肝斑などを穏やかに「薄くする」、そして、これからできるシミを「予防する」という役割を得意としています。

すべてのシミを同じ方法でケアするのではなく、ご自身のシミの種類を専門医に正しく診断してもらうこと。そして、そのシミに合った、賢い治療法を選択することが、透明感のある肌への第一歩です。